2026年7月――KOJIMA PRODUCTIONS のポップアップショップイベント「STRAND STORE」の会場に、『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』のキャラクターからインスピレーションを受けた、オリジナルアート作品が展示された。
イベント内で期間限定展示を行った造形作品『絆(CONNECTION)』について、コジマプロダクションのコンセプトアーティストを務めるエンテイ・リュウに、制作秘話や想いを語ってもらいました。作品は9月19日から心斎橋PARCO、10月17日から名古屋PARCOの「STRAND STORE」各イベント会場で展示がございます。この記事を作品の”追加キャプション”として、会場にお越しいただければ幸いです。
想像をリアル(現実)に構築する
――コジマプロダクションにおける、エンテイさんのお仕事を教えてください
エンテイ・リュウと申します。コジプロでは主にコンセプトアートの仕事をしています。造形と絵を使いながら、キャラクター、クリーチャー、世界観のビジュアルを作ることが多いです。『DEATH STRANDING 2』と『OD』、最近だと『PHYSINT』やアニメ版『DEATH STRANDING』などの作品用コンセプトアートも作っています。
作品のポスタービジュアルや、今回のようなイベントの展示作品を制作することもあります。
――コンセプトアーティストは具体的にどんな仕事ですか?
小島監督をはじめ、新川さんと制作チームの思い描いている情報をもとに、イラストや造形で見た目、ビジュアル、新しいアイデアなどのきっかけを作る仕事です。例えばマゼランマンのような大きいものだと、スケール感を一番イメージしやすいのは画よりも立体になります。時間はかかるけど、存在感や情報をチームに共有しやすいです。
マゼランマンの原型となるプロトタイプは1メートル以上あり、手には大きさ比較用にサムが乗っていました。今度の10周年展で展示しようと思っているので、そのスケールや細部を体感してみてください!
創作『絆』から、ゲームとユーザーを『CONNECTION』する
――造形作品『絆 CONNECTION』について教えてください
この作品は、夏に開催された渋谷PARCOのイベント(STRAND STORE)のために制作した作品です。CONNECTIONというコンセプトの表現として、作中から3人のキャラクターを選びました。このキャラクターたちは、私にとって特に印象に残った魅力的な女性のキャラクターたちです。沢山の魅力的なキャラクターが登場しますが、中でもこの3人の個性がそれぞれ魅力的だと感じています。フラジャイルの母性・リーダー・トラウマ、レイニーの救いと育む力、トゥモローの成長と未来。これらの濃い個性を、過去と現在と未来で繋いでみました。3人それぞれが運命の女神のようで神聖に感じたため、女神像っぽくも見える造形で表現してみました。キャラクターをただ並べるんじゃなく、服装・髪・ポーズを合わせてお互いを支え合う1つの形として構成しています。
――作品名はどの段階で付けられたんですか?
実は、造形作品ができた段階ではまだ名前がありませんでした。全部完成した状態の立体物を監督に持って行き、その場で『絆』という名前を付けていただきました。
――制作するうえで、とくにこだわった部分はどこですか?
元々ハイクオリティーなスキャンデータとゲームのモデルがありますが、1から手で彫りました。そのまま使うなら監修も楽ではあるんですが、自分でゼロから作りたいと思いまして。
写真と肖像画のような関係性です。写真が100%キャラクターのディテールを捉えていたとしても、人の目で見て作ったものに価値があると考えています。ブレがあり、完璧じゃないかもしれませんが、人の手でしか作れないものを作ることが、最大のこだわりです。作っている時は、自分なりにキャラクターを解釈しながら作品に落とし込んでいきます。だからこそ、完成するまで何が生まれるのか分かりません。
今回は新川さんのキャラデザインと、3人の俳優さん本人の顔のスタイルと雰囲気、その中間くらいの結果になりました。レア・セドゥさんが、DS2の世界のフラジャイルを演じたからこそ成った姿。それを三者三様で私なりに表現した姿です。
――作りながらの変化を大事にしているんですね
決まったイメージを再現するだけなら、機械的な工程になってしまい、新しい可能性と出会う余地がなくなってしまいます。
創っている途中、手の感触があると作品と対話が出来ます。自分の時間と、感動した想い出も一緒に乗せて、そうやってできた塊が作品です。私の創作すべてに共通することですが、ディテールを積むより作品に生命力・存在するリアルの部分を注ぐのがこだわりと言えます。できあがったものは静止していますが、その一瞬には流動している時間と感情が凝縮されています。
――今回の作品はエンテイさん1人で作られたのですか?