DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT - PC (2), DEATH STRANDING - PC (41), DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT - PS5 (1)

『DEATH STRANDING』 の世界を彩る様々な楽曲たち。 
なかでもディレクターズカット版で追加され、重厚かつミステリアスな雰囲気を放つ「Goliath」は、困難な配送に挑むときに、不思議と励まされる独特なリズムを持っています。 

今回はそんな「Goliath」を作曲し、グラミー賞のベストミュージックビデオ部門にもノミネートされたアーティストWOODKID(ウッドキッド)さん にインタビューを行いました。 

 

---Q&A--- 

 

小島監督とはじめてお会いした時のことを聞かせていただけますか?

はじめて話したのは確か、パリでした。私の音楽の話を中心に、ゲーム業界についても話しました。まずお互いの経験から共通している部分があることを知り、そこから将来の話や、監督の今後のものづくりに対する考えについても聞くことができました。時間やリズムの重要さ、そして時間をかけて作る芸術には、何か特別なものが宿ることなどを話しました。

 

『DEATH STRANDING』の世界観を知った時は、どのような印象を持ちましたか?  

数年前にタイトルのローンチトレーラーを観て、我を忘れてしまうくらい驚いたのを覚えています。小島監督のクリエイティブの複雑さと特異性は真似できるものではないですね。”不思議”というか…やはり”特異性”ですね。監督の作品には私の好きなモノクロ的な暗さがあり、すごく共感できます。お互いの作品には共通するものがあり、二人を結ぶシンボリズムを強く感じています。 

また、このゲームに感じる憂鬱さや思索は、現代のエンタテインメント業界では避けられがちな要素のように思います。 このような選択ができるのは、小島監督のようなパワーがなければできないことであり、とても尊敬しています。  

 

実際にⅮEATH STRANDING DIRECTOR’S CUTをプレイしてみましたか? 

もちろん! このゲームの政治的で成熟したところが大好きです。 

国家主義や愛国心、そこから生じる疑問などがゲームの中に浸透しているところが素晴らしいですね。ディストピア系ゲームで、こうしたテーマを高いレベルの驚きとニュアンスをもって伝えられる作品は、他に見当たりません。 

それに、私の友人であるレア・セドゥさんがゲームに登場するのも嬉しいですね。彼女は完璧にフラジャイルです!

 

ファイナル・トレーラーに、Woodkidさんの「Goliath」を使いたいとお話があった時のエピソードを教えてください。また、完成したトレーラーをご覧になった時はどう思いましたか? 

信じられなかったですね。大変光栄で、本当に夢のようでした。 

ファイナル・トレーラーは、ゲームの世界に完全に没入するような内容で最高でした。ファイナル・トレーラーだからこその作りだと感じます。編集も素晴らしく、自分の音楽が小島監督のイメージとこんなにもぴったり合うなんて驚きました。曲のブリッジの部分でサムが水中で溺れているシーンへ繋がるところが特に好きです。私の “I Love You” のミュージックビデオを思い出しました。実はあのPV、小島監督の作品とたくさん繋がりがあるんです。

もしかしたら、私たちの世界はどこか繋がっているのかもしれません。私は幼少期の頃から小島監督の作品と共に育ったため、その影響がふと、どこかに表れてしまうのでしょうね。 

トレーラーだけでも最高に嬉しいのに、DIRECTOR'S CUT版をプレイ中に自分の音楽が流れてきた時は、鳥肌が立ちました。ただただ信じられなくて…ちょっと泣いちゃったかも(笑) 

『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』ファイナル・トレーラーは、以下のリンクよりご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=EV53lnCzP1w
 

 

――ここからは楽曲「Goliath」や、Woodkidさんの音楽活動について掘り下げていきます 

これまでの音楽活動で、とくに印象に残った出来事は何ですか? 

思えば色々とありましたね。 

私の出身地、フランスの都市リヨンで開催される、最も権威のあるコンサート「Les Nuits de Fourvière(フルヴィエール・ナイツ)」で演奏したことがあります。それもフェス史上初、3日間連続でパフォーマンスをさせてもらう機会がありました! 

また、東京オリンピックの閉会式でも演奏する機会をいただけて、自分の曲を何曲も演奏できたことが嬉しかったですね。これがきっかけで、大変光栄なことに2024年パリ・オリンピックのテーマ曲作曲の依頼をいただくことができました。

 

「Goliath」は、どのようなインスピレーションのもと制作されたのでしょうか。 

スタジオでレコーディング中、最も低い管楽器を探していたところ、コントラバスクラリネットという珍しい楽器を見つけました。早速様々な音のサンプルを録音していた時、まるで消化音のような…とんでもない音が出たんです。すっかりこの音を気に入ってしまったのですが、この音を実際にどの曲に使えるのか、最初はまったくわかりませんでした。 

色々試行錯誤をして、最終的にはこの「Goliath」にちょうど良いという結論になりました。この回転するようなイカれた音は、採掘機のイメージが見えてくる感じがしました。常に回転し、土を食らい、地球をも食い荒らす。このイメージから「Goliath」という曲と、PVのイメージができあがりました。 

この曲はエコロジスト(環境保護者)の歌であり、同時にラブソングでもあります。私の曲は記号的で、様々なテーマのメタファーとなってほしいので、自由に色々な解釈をしてもらって良いと感じています。 

 

プロモーションビデオを撮影するためにチェコの採掘場に降り立った時は、どのような気分でしたか?

とても奇妙な気分でした。 

乾燥しきった採掘現場は従業員にとって明らかに過酷な労働条件で、どの機械も環境的にはマイナスな意味合いを持つものばかり。ここには何か巨大で…飽くなき何かが存在している。そんな奇妙な感情を抱きました。 

採掘機を目にしたときは不快感と同時に、エンジニアリング面でとてつもない魅力も感じました。人間が作り上げた中で最も大きなその機械は、まるで1つの街のようであり、そこで生活している人たちも居ます。 

これほどまでに人間に最高で、同時に最悪の能力が表現されたビジョンを見たのは、初めての経験でした。 

 

「Goliath」が収録されたアルバム「S16」のアートワークは、どのように生まれたのでしょうか? 

このアルバムは、「内面の闇と向き合う大切さ」がテーマでした。エロチックで不穏、優しさとバイオレンス。それらを同時に感じさせるコンセプトを表現したかったのです。 

CGを駆使して、マグマのような沸騰した油のようなものを作り、これをボディービルダーの体に反映しました。最初のアルバム「COLORS」のパフォーマンス時に登場した犬も、要素として合成しています。 

実際のところ、写真なのか3Dなのかよくわからない曖昧なデザインの仕上がりは、とてもクールで、満足しています。 

 

普段、プライベートではどのような音楽を聴いているのでしょうか? 

何を聴くのかと聞かれても、少し難しいですね。 

私は音楽を鑑賞するために聴くのではなく、その音楽を分析するために聴くことが多いです。スマホにはあまり音楽を入れていません。音楽をかけたいとき用のプレイリストはありますが、基本的にガッツリ勉強したいときに音楽を聴くようにしています。時間をしっかり用意して聴くので、BGM感覚で流して聴くということはしていません。 

その点で、今はスティーヴ・ライヒさんの曲に夢中です。リズムの部分でとても参考になるので、改めて色々と聴きなおしているところです。あとは、スフィアン・スティーヴンスさんがニューヨーク・シティ・バレエ団のために作曲を務めた楽曲を聴きました。とてもリズミカルで明るく、本当に美しい作品です。 

私にとって音楽は、単なる気晴らしとは違うものになっていますね。

 

今年開催されたツアー「WOODKID TOUR 2022」はいかがでしたか?  

コロナの流行から約2年のツアー延期となっていたからこそ、リアルなステージから観客と繋がれたことが、本当に嬉しかったです! 

2013年にファーストアルバムを出して以降ステージに立っていなかったので、実に7年振りですね。私自身はツアーというアートフォーム…その形が大好きですので、ステージに立てなかったときはフラストレーションも溜まるばかりでした。そういった面でも、ツアーが再始動できたことに安心感も抱きました。 

ステージに立つこと、歌うこと、ビジュアル制作にセノグラフィ(舞台芸術)、そしてこのリズム感! セノグラフィは芸術の完全版です。これが表現できるのはとても幸せです。 

 

最後に、今後の展開をお聞きしても良いですか?日本での活動予定もあるのでしょうか? 

日本でツアーもやりたいし、もっと自分の音楽を広めていきたいですね。ただ、実は色々と複雑で、実現できていないんです。日本やアジアで活動するために適切なチームを揃えていないと、なかなかチャンスをつかむのが難しく、日本やアジアで音楽を広める機会ができなかったんです。 

パンデミックの直前に、東京で杉並児童合唱団とアルバムの一部を収録したことがあります。これは私が愛する国への、愛の宣言でもありました。だからこそ次のアルバムでは、もっと日本と関わりたいと思っています!上手くいきそうな予感がしているんです!

 

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WOODKIDさん作曲の「Goliath」が使用されている『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』ファイナル・トレーラーは、以下のリンクよりご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=EV53lnCzP1w 

 

『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』の詳細につきましては、こちらをご確認ください。
PlayStation 5 
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/234585/   

PC 
STEAM:
https://505.games/SteamDSDCLaunch
EPIC: https://505.games/EpicDSDCLaunch

 

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